BMW M5試乗インプレッション|560馬力のF10型BMW M5の使い心地や燃費をレビュー

クルマ試乗記

4.4L V8ツインターボ×DCT

セダンスタイルで速い車と言えば、メルセデスベンツのE63やRS6などがライバルでしょうか。同じボディのアルピナB5はもう少しラグジュアリーな仕様なので、スポーティさで言えば、アウディがライバルでしょう。

スポーツバックスタイルのGT63、RS7、パナメーラなどもありますが、彼らはハッチバック故にセダンの実用性は備えていません。知り合いでGT63に乗っている人が多いので、ゴルフバッグを縦積みにしている光景はある意味新鮮です(笑)

F10型M5の概要

さて、試乗したM5ですが、F10型と呼ばれる世代です。搭載されるエンジンは4.4LのV型8気筒を二基のタービンで過給するモデル。

それに7速DCT(デュアルクラッチトランスミッション)を組み合わせています。

560馬力を発揮し、2tあるボディを4.3秒で100㎞/hに到達します。

M5の乗り心地

乗り心地は、シャキッとしています。所謂高級車の乗り心地を求める人は、不快に感じることは間違いないでしょう。

サスペンションのストロークは、街乗りの速度よりも中高速域において本領を発揮します。首都高で100km/h以上出したままコーナーに侵入しても最低限のロールでしっかりと地面に接地したまま抜けていきます。

 

後席の広さは3シリーズと比べると天井のゆとり(高さだけではなく形状の圧迫感が希薄)があり、快適です。運転席ほどサスペンションの硬さは感じないものの、マフラーからの音がかなり聞こえるのであくまでドライバーズカーといった仕上がり。

ハンドリング

M5のハンドルは、通常のラインナップのMスポーツ用ハンドルとおそらく共通で、やや太めのハンドルに、Mカラーの青と赤のステッチがあしらわれています。

ハンドルの裏側にはパドルシフト

330km/hまで刻まれたスピードメーターと大きなタコメーターは、ハンドルの内側から綺麗に見えます。ポルシェやBMWはこういった細かい配慮がされていますね。

 

ハンドリングは、割とクイックで遊びはほとんどありません。パワステの重さはやや重いですが、街乗りで疲れる程ではありません。センタリング機能はフロントエンジンだからかそこまで強く作用していないと思いました。

また、ハンドリングに関しても、想定領域は高速時だと思われます。50km/h程度ではクイックすぎるかもしれません。普段からポルシェに乗っている自分にはそう感じました。

 

ハンドリングで一番印象的なのがタイヤの接地感です。

 

地面に落ちている小石の形が分かるくらい正確なフィーリングだと言えます。まぁこれは純正で装着されているミシュランのパイロットスポーツの影響も少なからずあるでしょう。

ペダル類

ペダルのポジションはマニュアルのクラッチを抜いてそのままな位置です。

トランスミッションがマニュアルベースだからか、ブレーキペダルが非常に小さく、上り坂で発信する際にはややコツが必要です。

 

アクセルペダルはオルガン式、ブレーキは吊り下げ式になっています。

 

アクセル、ブレーキ共に遊びはゼロに近いです。ドイツ車特有の「踏んだ分だけ止まる」を体現しており、扱いやすいブレーキです。

ただ、ブレーキペダルが小さいので左足ブレーキも辞さない勢いです。

 

アクセルがオルガン式なのはこの車においてかなりのメリットがあると私は考えています。というのは、F10M5はDCT、しかもポルシェとは違ってクリープの再現が無いタイプです。

 

つまり、坂道でブレーキを抜くと下がっていってしまうということです。

オルガン式ペダルは足を置いておくだけで少しアクセルを踏んだ状態になります。これによって、坂道で数秒間止まるようなシチュエーションで落ちていかないようにすることが出来ます。

さらに、M5のDCTは低速走行時にエンジンブレーキがかなりかかるのでそれに少し当てるようにアクセルペダルに足を載せることができることもオルガン式のメリットでしょう。

シート

M5のシートは、高さやリクライニングだけでなく、ランバーサポート、オットマン(厳密にはシートの座面が膝下ほどまで伸びてくる物)などが付いています。

 

ホールド感は適度で、圧迫感はありません。必要十分にサポートしてくれる感じです。

さらに、シートヒーターやベンチレーターもあるので、オールシーズン快適にドライブ出来ます。

シートに乗り込むまでのサイドシルは、日本車に慣れている人にとっては幅広に感じるかもしれません。跨ぐ、という表現が適切と言った感じです。

M5の実用性

セダンを購入する人はある程度の実用性を求めていると思います。

M5のトランクスペースは、ゴルフバッグが斜めに2つ積めます。クラウンやカムリのように横向きに入れることは出来ません。

 

驚かれるかもしれませんが、ドイツ車でゴルフバッグが横向きに入るモデルはほとんど存在しません(笑)

カイエンですら、斜めにしないと積めませんから。

 

トランクの容量自体は非常に大きいので困ることは無いでしょう。ゴルフバッグが重なっても隙間が空くくらいの高さ、縦には入りきらないけど斜めなら余裕の奥行きです。

モード切替

BMWのM以外のモデルではエコモードやエコproモードが存在しますが、M5にはありません。まぁエコを求める人が買うモデルではありませんから当然です。

 

だから、と言う訳ではありませんが、M5はサスペンション、ハンドリング、変速スピードなどを細かく調整できます。自分の好みのセッティングを見つけられると車との絆が深まるでしょう。

燃費

M5の燃費は、街乗りで7km/L、高速で10 ㎞/Lほどです。

 

街乗りのコンフォートモードだと、アイドリングストップが作動するので若干燃費に貢献しているとは思いますが、セルモーターに負担がかかっている気もするので、トータルコストを考えたらどちらは良いかは使い方に寄るでしょう。

 

この手の車に燃費を求めるのは違うと思いますが、タンクが80Lあるので航続距離は困らないでしょう。

まとめ

F10M5はかなりスポーツカーです。スポーティというレベルははるかに超えて、相当ストイックな車です。

ラグジュアリー要素はそこまで無いので、それを求めるならアルピナを検討した方が良いでしょう。

 

これが次の世代からはトルコンATになるので、クリープもあるしヌルヌル変速しますから、味付けがかなり異なると思います。将来最後のM5と言われるかもしれませんね。

 

 

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